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ぴっからコラム

主体性のひきだし方

畑作業から生まれる主体性

ガイア自然学校にある小さな畑、そろそろ耕そうとクワを片手に畑に向かいました。
すると放課後自然教室の子どもたちが数名ついてきました。

「ぴっから、何してるん?」
「畑を耕しにいくんやよ。」
「へー手伝いたい!」
「おれも!おれも!」

子どもたちは、大人のやることに興味を持っています。
お母さんが料理していると、やりたがるのと一緒です。
そして、作業しようと思うと、どうしても子どもたちが邪魔になります。
料理なら包丁も扱うので危ないので「あっち行ってて!」ってなりますよね。
今日の畑作業も、正直子どもたちは戦力にならないし「邪魔だなあー」と思いつつ、できる作業を頭で考えながら子どもたちと畑まで歩いていました。
畑につくと、子どもたちは走りまわって楽しそうです。

「手伝わないんかーい!」
というツッコミをあえて言わず、ひとり静かにクワで耕し始めました。
すると、

「やりたい!やりたい!」
「ぴっから、それ僕にもやらせて!」

子どもたちが群がってきました。

「じゃあ、このクワ使っていいよ。この辺耕してみ。」

そう言って、クワの振り方の見本を「さりげなく」みせて、やってみろという風にクワを渡しました。
ひとり一人、クワをもって耕し始めます。
かなり地面が固いので、子どもの力ではほとんど耕せないのですが、それでもしばらくはがんばっていました。
思ったよりみんながんばっていましたが、途中で飽きた子たちはクワを放り出して消えていきました。
しかし、あえて何も言わず。
「疲れたら帰っていいぞ。」と伝えていました。

その中でも小4のRくんは、汗をかきながら一生懸命作業を続けていました。
時々、

「Rは、体力あるなあ。」
「たすかるなあー。」

と、声をかけていきます。
そのたびRくんも、

「ぼくサッカーしとるから体力あるねん。」
「これ楽しいなー。」

たぶん、そんなに楽しいことでは無いはずですが(笑)
声をかけられるとちょっとニヤッとして嬉しそうに答えてくれます。
一緒に汗をふき、水を飲みながら、

「ここを耕したら何を植えよう?」
「このクワってすごい重い。」

と、何でもない会話をしつつ作業を進めていきました。
結局、Rくんは3時間以上畑作業を手伝ってくれました。

「今度はいつ作業するん?」
「また手伝う!」

そう言って帰りました。
この時のRくんは、とても主体的に自ら「作業を手伝う」という行為を選んで実行していました。
とても清々しかったし、何か特別「楽しい」ことをしたわけではないのに、楽しくてお互い充実した時間でした。

大人の関わりのポイント

畑作業を最初から「やらせる」ようにしようとすると、子どもたちは「やりたがりません」。
天邪鬼だなあと思うかもしれませんが、人間「やらされる」ことには抵抗があるものです。
「やらせなければならない」作業を「やらせる」場合は、しかたないのかもしれません。
しかし、やる気がないので非効率的だし、子どもにとって「作業」が「苦痛」や「罰」のように感じてしまいます。
結果、子どもたちはその「作業」をイヤだと感じ、「やらされる」事から逃げるようになります。
たいしたことのない「作業」なのに、「罰」として捉えることで苦痛に感じてしまう訳です。

「主体性」を芽生えさせて、その芽を摘まないようにする行動が、大人には必要です。
以下は、そのための大人の関わり方のいくつかのポイントです。

(1)尊重と信頼
子どもの主体性を伸ばすためには、まず子どもを尊重し、彼らの意見や選択を信頼することが重要です。大人が子どもの考えや行動を真剣に受け止め、尊重することで、彼らの自信や自己評価が高まります。

(2)自由な選択と意見表明の機会の提供
子どもには自分の意見を述べたり、自分で選択を行ったりする機会を与えることが重要です。大人が子どもに対して制限や指示を与えるのではなく、彼らが自分で考え、行動する機会を与えることで、主体性が育まれます。

(3)興味や関心を尊重しサポートする
子どもが興味を持つことや関心を持つことを尊重し、それをサポートすることが大切です。大人が子どもの興味や関心に耳を傾け、彼らの興味を深めるための機会を提供することで、彼らの自主性と探求心が育まれます。

(4)挑戦や失敗を受け入れる環境を提供する
子どもが新しいことに挑戦し、失敗を経験することは成長にとって重要です。大人は子どもに対して安全な環境を提供し、失敗や困難を恐れずに挑戦することを奨励します。失敗を受け入れ、その経験から学ぶことを支援することで、子どもの自己効力感が高まります。

(5)共感と理解
子どもの感情や視点を理解し、共感することが大切です。大人が子どもの感情や経験に共感し、彼らの感情を受け止めることで、子どもは自分の感情を受け入れ、表現する自信を持つようになります。

(6)フィードバックの提供
子どもが自らの行動や選択を行う際に、適切なフィードバックを提供することが重要です。建設的なフィードバックを通じて、子どもは自分の行動を振り返り、成長していくことができます。

これらの関わり方を通じて、子どもの主体性が伸ばされ、彼らが自己を肯定し、自信を持って行動することが促進されます。

こうした「関わり」を生むには、自然の中での自由な遊びや野外での作業なんかが最適なんです。
その理由はまた今度。

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