
放課後の子どもたち
「おーい!ぴっから〜」
「こっち、こっち〜」
ある日、森の横道を歩いていると子どもたちの呼ぶ声が聞こえてきます。
声のする方を見回してみても姿が見えません。
キョロキョロしていると、
「上!上見て〜!」
との声。
見上げると、木のぼりをしている子どもたちが手を振っていました。
ガイア自然学校の放課後児童クラブ「放課後自然教室」の子どもたちです。
かなり高い所まで登っていて、一瞬ギョッとします。
でも、子どもたちは慣れた感じで手を振ってきます。別の枝に登っている子は、隠れているつもりなのか顔半分だけ木の陰からのぞいニコニコしています。
高いとこまで登っている子は、どこか誇らしげで自信たっぷりな表情が伺えます。
穏やかな放課後自然教室の日常です。
日常的に「木のぼり」ができる環境は、今はとても減っていると思います。
そもそも、子どもたちが気軽にあそべる自然環境が少ないのが実情ですが、公園や自然園などその場を管理している会社や団体が責任上の問題から「木のぼり」なんて禁止するのが当たり前ではあります。
本来、自己責任ですまされる問題のハズなんでしょうが、なぜか木を登った子が落ちてケガをすると、木を管理していた公園事務所が訴えられるという、変な世の中です。
それでは危ないことは「しない」「させない」のが当然の世の中になってきます。
安心安全なのでしょうが、果たして本当に「子どもたちの成長」にはそれでいいのでしょうか?

森であそぶ子どもたちの変化
ガイア自然学校で行っている日常的な活動。
「放課後自然教室」には、毎日100名ほどの子どもたちが学校終わりにガイア自然学校を訪れ、放課後を過ごしています。
小学校1年性から6年生までが通っていますが、学年も入りまじってあそんでます。
小学校1年生の入所当初は、転んでケガする子がたくさんいます。
それもそのはず、子どもたちが遊んでる場所は、小さな森のエリアです。森の中は整備なんかしていないので、木の根や土の段差でデコボコです。雨が降ったらぬかるみもたくさんできます。
歩くだけでもつまずいたり、転んだりするのが当たり前な場所で、子どもたちは走りまわっています。
1年生の間は慣れていないので、よく転びます。あちこち擦り傷だらけになる子もたくさんいます。
でも不思議と、2学期、3学期と月日が過ぎていくにつれて、転んでケガする子が減ってきます。
気づけば、デコボコぬかるみの森もぴょんぴょんと走りまわる子たちでいっぱいです。
木のぼりも、ガイア自然学校では禁止していないので、高学年の子たちが登っているのを見て1年生たちも登りたがり、お兄ちゃんお姉ちゃんに教えてもらいながら登ってます。
お兄ちゃんお姉ちゃんと言っても子どもたちですので、親切には教えてません笑
「おれは登れるけど、〇〇はムリじゃね?」
と、煽る子。
「なんで登れんの?ここに足かけたらいけるんにー。」
と、煽る子。
決して丁寧でもやさしくもなく、子どもたち同士教えたり(ほぼ煽ったり)してます。
それでも、それぞれが自分で考えて登り方を見つけています。

危険を知り、安全を学ぶ
子どもたちは、走ってつまづいて転んだり、木のぼりうまく登れず滑りおちたりしながら「体幹」が鍛えられています。
デコボコな地面に応じた足の角度のとり方、ぬかるんだり凍った地面の状況に応じた足の裏の力のかけ方、その時の全身のバランス。
スポーツでは鍛えられない部分が鍛えられています。
更に、どういう動きが「危ない」のか、どこまで登れば危ないのか、どのくらいの太さの枝なら乗っても大丈夫なのか、感覚的に「危険」を理解していきます。
危ないからと言って、子どもたちから危険な事を除去し遠ざけてしまっては、そもそも「危険」なことが何なのか把握できなくなります。
危険を自分で理解するからこそ、自分の安全を守ることができるのです。
「頭」で理解するのでは役にたちません、身体で感じ感覚で覚えることが大切です。
森の中で遊んでいるだけで、危険察知から危険回避のための身体の動かし方、体幹や反射が鍛えられているのです。しかも「遊び」なので、楽しく集中してやってます。
「森であそんでます」って言うと、「教育」じゃないみたいに言われがちですが、とても大事な身体的にも精神的にも根本的な事を学んでいるんです。
いわゆる「非認知能力」のひとつです。
ぱっと見は「成長」が分かりにくい、だけど人間の根本的な部分を育てている力です。
「木のぼり」や「森で走りまわる」をなめてはいけません。
ものすごい教育手段なんです。
